ズル休み


2000年、12月26日。
この日は“ゆず体育館ツアー2000〜2001 トビラ 大阪公演”の公演日であった。
私はこのライブのチケットを、ファンクラブを通じて手に入れた。

しかし…この日は平日。

当時、京都のとある保育園に勤めていたのだが、仕事が終わってからライブに行ったのでは、
どう考えても間に合わない。
やはり、ここは早退するなり、有給を取るのが正解であろう。

だが、私が勤めていた保育園では私用で有給をとらせてもらえなかった。
その時、3月末で退職することが決まっていたのだが、まだ有給が20日近く残っている。
(病気以外では使わせてもらえないのだから当たり前だ)

そう、病気だ!病気になるしかない!!

どうせ有給を消化することなく退職することになるんだから
1日ぐらい労働者の権利を使ってみたっていいじゃないか!

私は仮病を使うことを決意した。

やはり、バレルのはよろしくないので、それなりに演技をしておくことにする。
その時、ちょうどうまい具合に(?)風邪気味だったので、これは好都合だ。
殊更、力をいれて鼻をかみ、咳こんで風邪気味であることを周囲にアピール。

そして、ライブの日の給食メニューは大好物の「手作りコロッケ」!!
(嗚呼、何故よりにもよってサボりの日がコロッケなんだ?
 神は私の「ゆず」への愛を試しているのか!?)

「明日の給食コロッケや〜ん♪調子悪いけど、明日ばっかりは絶対休まれへんなー!!」
と同じクラス担任の後輩の子に話しかける。
私が「食べるの大好きっ子」なのは周知の事実なので
「先生やったら熱があっても絶対来そうですよね〜」
などと言われてしまった…

当日、私は計画通り仕事をズル休みした。
朝、電話をかける時はかなり緊張したが(小心者なんで…)
本当に風邪気味で「鼻声」だったので、ごく普通に「大丈夫ですか?お大事に」
と言われて電話を切った。

園長、スミマセン…
本当は仮病なんです。
でも、サービス残業ばっかりさせておいて、
有給を取らせてくれないあんたも悪いのよ。
(逆ギレ)

次の日、仕事に行くと早速、後輩に
「先生、昨日のコロッケもったいなかったですね〜!」
「給食にコロッケが出るのって、年に1,2回ですもんね。
退職しはったら、もう食べられないですよね〜」
などとエラく同情された。

私も重々しい口調で「生涯最後の保育園コロッケやったのに…悪い時に熱が出たわ」
と言っておいた。

そう、コロッケは本当にもったいなかった!

しかし、人はコロッケのみにて生くるにあらず。(聖書参照?)

私の「ゆず」への愛はコロッケに勝ったのだった(笑)
(ええ、勿論「ゆず」のライブは素晴らしくて、仮病使ってでも行く価値ありましたともっ♪)




(2002.6.10)


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